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ムーミン家長

Author:ムーミン家長
どこにでもいるごく普通のムーミン似のお父さん。スナフキン似の妻とノンノン似の娘たちと暮らしている。
人生を折り返したある日、家族平和こそが世界平和へつながる原点だと確信。ムーミン家の長として、世界平和に貢献すべく週末シェフを務めることに。

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DOCGって何?こんなワイン売りには気をつけよう
最近、食品表示の偽装問題がマスコミをにぎわせているので思い出したのだが、あるスーパーのワイン売り場での話。

昨年の春だったか、高級スーパを標榜するあるお店の覗いたときのこと。
ワイン売り場に行くとリーフレットが置いてあったのでそれを手に取ったのだが、まず表紙を見て首をかしげた。

そこには “100% DOCG高級葡萄使用『モンプル』” とあったからだ(下の写真)。よく分らない表現だが、モンテプルチアーノというブドウ品種100%のワインで、しかもその葡萄はDOCG高級葡萄ということらしい。

家長が首をかしげたのは、この “DOCG高級葡萄” ということばだった。

100% DOCG高級葡萄とは?

前にDOCG(保証つき統制原産地呼称)ワインについて少し書いたことがあるが、これはイタリアのワイン法による『規格』のひとつ。下の図のようにイタリアワインは4つの規格から成り、DOCGはその頂点(最も厳しいところ)にある。

イタリアワインの表示規定
▲DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)は保証つき統制原産地呼称ワイン、DOC(Denominazione di Origine Controllata)は原産地統制呼称ワイン、IGT(Indicazione Geografica Tipica)は地域特性表示ワイン、VdT(Vino da Tavola)はテーブルワインという意味。IGTワインはもともとVdTワインの範疇であったものにいくつかの条件をつけ、地名やブドウ品種を表示できるようにした規格。同じようにDOCGもDOCから始まっている。DOCに更に厳しい規定を設けることによりDOCGを創設した。

まずは “指定された地域” で “決められた種類のブドウ” を作らなければいけないが、苗の植え方から1ヘクタール当りの収穫量まで決まっている。また、ブドウの搾り方や醸造方法、成熟期間、最低アルコール濃度や酸度なども決められおり、更に多くの細かい規格がある。それらをクリアして初めてDOCGワインに認定される。

そういう制度なので『DOCGワイン』という言い方はしても、『DOCG葡萄』とは言わないと分ってもらえると思う。しかもこのリーフレットは『DOCG高級葡萄』と書いてあり “高級” の意味も分らない。どうも、DOCG指定地区のブドウだから高級と言いたいようだ。

最も重要な問題は、それではこのワインがDOCGワインなのか?ということなのだが、実は違っていた。

このワインは『モンテプルチアーノ・ダブルッツォ(アブルッツォ州のモンテプルチアーノを主品種として作ったワイン)』というDOC規格のワインで、リーフレットのボトルの写真にもそう記されている。

家長はびっくりして、このことを店員さんに話したのだが、彼らも驚いて『これはいけませんね、報告しておきます』と言ってくれた。

それから何日か経って広告が修正されたと知ったのだが、それが下の写真。

大きな変更と言えるのは『DOCGの表示はありません』と小さな但し書きが加えられたところ。しかしこれもまた歯切れが悪い。

表示変更後
▲スーパーのホームページ上で訂正されたリーフレットのPDF版。『DOCGの表示はありません』という小さな注意書きが加えられ、前に『DOCG』とだけ書かれていた部分が『DOCGコッリーネ・テラマーネ』と正確になった。

前の広告が誤解を招くようなものだったと素直に認めれば『このワインはDOCです』とか『DOCGではありません』と書けばすむこと。それを『表示ありません』と書くのは、相変わらずお客さんにこのワインをDOCGだと思わせたいのだろう。

このワインがDOCGに指定された地域のブドウを使っていながら、DOCとして作られているということは指定地域の規定以外でDOCGの要件を満たしていないということ(ただ、生産者側が手続きが面倒だし費用もかかるのでそんなお墨付きは要らないなどと考えた可能性もないとは言えない)。

どういうことなのかと興味をおぼえて調べてみたらこのワインの輸入業者のホームページに説明されていた。

それによると『D.O.C.G.の区画内の畑ですが、収穫規制の関係で、D.O.C.としてリリースしています』とのことだった。

モンテプルチアーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネというDOCGの規格なら、1ヘクタール当りの最大ブドウ収穫量は9.5トンであるが、モンテプルチアーノ・ダブルッツォというDOC規格にすれば最大収穫量を14トンにまで増やして構わない。

ブドウ収穫量はブドウの品質にも関わる重要な要素。つまり、このワイン生産者はブドウをコッリーネ・テラマーネというDOCGの指定区画(地域)内で作ってはいるが、DOCGという規格品にするよりもワイン生産数を増やすこを優先しているということだろう。

それなのに、小売店が『このワインは “100% DOCG葡萄” から作りました』とDOCGワインと同じだと誤解するように宣伝するのはいかがなものか。問題指摘後の修正もあまり感心しない。

最近話題の食品表示問題と同じではないのだが、根っこの方では繋がっているように思えてならない。お客をミスリードすることで販売数を増やそうとするやり方だ。専門家には一般の人を啓蒙する使命がある。皆に興味を持ってもらうように工夫しながら販売増加につなげて行こうという姿勢が大切ではないだろうか?

DOCGの規格はワインの品質を保証するものではあるけれど、味わいを保証するものではない。人が言う『旨い』『美味しい』はそれぞれの嗜好に左右される。ワインの好みも十人十色、購入前に試飲の機会があるのなら是非飲んでみることをおすすめする。
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